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]]>世界の原油市場のスイングプロデューサー(需給の変化に応じて生産を増減させ、価格の安定を図るための調整役)で一朝事があれば、原油価格が高騰するばかりか、世界の原油市場は深刻な供給不足に陥る事態も想定される。
そのような事態になれば、残念ながら、日本が最も大きな打撃を受けてしまうだろう。
原油輸入の中東依存度が高すぎる日本
第1次石油危機から50年の月日が経過したが、日本の原油輸入の中東依存度は95%と過去最高の水準となっている。世界で比較しても他の追随を許さない高さだ。
資源エネルギー庁「資源・エネルギー統計年報・月報」によれば、石油危機以前で最も中東依存度が高かった年は1967年(91.2%)だった。
2度の石油危機を経て、1987年に67.9%まで低下したが、1996年に再び80%を超えた。日本に原油を輸出していた中国とインドネシアが、1993年と2004年にそれぞれ原油の輸入国に転じてしまったことが主な理由だ。
原油輸入の中東依存度はその後もさらに上昇し、2020年からは90%台となった。2022年は日本の石油企業がロシア産原油の購入を停止したことで95.2%となり、現在に至っている。
一方、日本経済における原油の重要性は過去50年間で減少した。そのため日本では、原油輸入の高い中東依存度について危機意識が薄らいでいる。
たしかに日本の原油需要量は日量約250万バレルと、過去30年で半減した。日本のエネルギー消費(電力は除外)に占める中東産原油の比率も、第1次石油危機時の59%から30%台に下がっている。
だが、当分の間は、ガソリンなしでは自動車は動かないし、灯油なしでは冬場の寒さはしのげない。プラスチック製品がなくなれば日常製品全般の大幅値上げは必至だろう。
原油の安定確保にとって、過度な中東依存は依然として大きな問題なのだ。
原油輸入先の多角化に向け官民挙げた努力を
「中東依存度を下げる特効薬はないのか」と思案していた矢先、朗報が飛び込んできた。
経済産業省が発表している「石油統計速報」によれば、昨年10月に米国から日本への原油輸出が始まった。日本ではあまり知られていないが、米国は今や世界有数の原油輸出国だ。直近の原油輸出量は日量約530万バレル と日本の1日の需要量の2倍を超えている。
主な輸出先は欧州や中国、韓国であり、日本への輸出はつい最近まで事実上ゼロだった。
中東地域のサワー原油(硫黄を多く含む原油)の処理に適した製油所を多く有する日本の石油企業にとって、米国産のスイート原油(硫黄分が少ない原油)はハイスペック過ぎるため、購入に消極的だったことが災いしていた。
だが、減産を続けるサウジアラビアやアラブ首長国連邦の原油が品薄になる中、日本の石油企業は、世界の原油市場に出回る米国産原油にようやく注目し始めたようだ。
米国のシェアは3〜4%程度に過ぎないが、筆者は「この機を逃すことなく、政府は製油所のスペック変更など必要な支援を間髪入れずに実施すべきだ」と考えている。
原油の安定供給に不可欠な供給源の多様化にとって、同盟国である米国の原油ほど最適な存在はない。少々割高であっても、米西海岸から輸出される原油の輸送は米国第7艦隊が保障してくれる。
ガソリン代の補助も大事だが、原油の輸入先の多角化を図るという積年の課題を解決するため、官民挙げた努力が今こそ必要なのではないだろうか。
藤和彦
経済産業研究所コンサルティングフェロー。経歴は1960年名古屋生まれ、1984年通商産業省(現・経済産業省)入省、2003年から内閣官房に出向(内閣情報調査室内閣情報分析官)。
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]]>オープニングセレモニーに行って来ました。なかなか面白いチャレンジと感じましたので、当方も関連事業模索に動きます。
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